都道府県対抗自転車競技大会 レースレポート(新村 譲)

トライスポーツが今年からサポートしている新村穣選手が都道府県対抗ロードにて3位入賞を果たしました。
新村選手はトラック競技が本職であり、トラック競技で東京オリンピックを目指している注目の選手です。
新村選手からレースレポートが届きましたのでご覧ください。

第51回都道府県対抗自転車競技大会

ロードレース – 2016/9/8
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121.2km(40.4km×3laps)
Time 3:03:41
Place 3rd

Result
1st 水野 恭兵 山梨 3:02:58
2nd 青野 将大 香川 3:02:59
3rd 新村  穣 茨城 3:03:41

「想定の逃げ切りでロード初表彰台」

ロードレース前日、都道府県対抗自転車競技大会(=以下都道府県大会)トラック競技が松山競輪場で終わり、午後よりロード会場である今治市・大三島へと向かった。1kmタイムトライアルの疲れも若干残っていたが、同県の選手(その他関東各県の選手団)とコース一周を試走してみると、自分の想像よりも易しくないコースであることが判明した。斜度のキツイ登りが複数存在する反面、下り区間が短いこと、海岸線が向かい風になる可能性が高いことから、登りでふるいにかけられる所謂サバイバルなレースになることを一番に想定した。

大会当日、あまり食欲がわかなかったが無理やりに朝食を詰め込み、普段通り余裕をもって会場入りとともに準備。ウォーミングアップもほどほどにし、茨城県チームで話しあってみたところ、大学の後輩須貝はハイペースの登りになるのを避ける為、逃げに乗ることを選んだ。ロードの実績ではチームで一番ある彼に序盤は託し、もう一人の高校生の松崎とともに集団でレースを進めることを打ち合わせた。

スタート。あまり緊張することはなく、有力選手のアタックが散発する中、コース前半の海岸線区間を集団後方で高校生とともに様子を見る。須貝は前半に発生したアタックに何度か乗るが、集団のメンバーがフレッシュな事もあり決定的な差は生まれず、登り区間が始まる直前に集団の前方に移動。少し速く感じたが自分のペースで登りをなんとかクリアする。その後の下り区間では先頭に出て、けん制などが起こらないようペースアップしながら他チームとローテーションを回した。

そして迎えた38km地点の平坦区間。岐阜や和歌山など有力県の選手がアタック、先行しているのを確認。集団にも疲弊の色が見えていたので近くにいた後輩に確認すると「しんどい」とのこと。集団内の優位性を失いたくなかったので、覚悟を決めて自分が逃げに乗るためブリッジする。この時の判断は正しく人生初の逃げ切りを体験することとなった。

逃げグループは7人から直後に大阪の浜田選手が離脱し6人になったが、順調に2分近くのタイム差を稼ぎ集団が許容したことがわかる。平坦区間を40km/h強でローテーションを回しながら、登りはイージーなペースで2周目をこなしていく。すると追走集団やメイン集団とのタイム差が縮まってこないことから、逃げ切りの可能性があることをメンバー全員が理解したように静かにそれぞれがペースを上げていく。ゴールまで残り40kmを切り、渡邊選手がハンガーノックか水分切れで音もなく脱落。トラック選手でパワーもあったのでとても大きな戦力を失う。少人数のスプリントで勝ちパターンを見出すことができたので、どら焼きを補給しながら海岸線区間を長く引くように心がけたる。中村選手、北西選手の消耗が激しく、ローテーションがうまく回らなくなっていた。登り区間に入ると、体重の重い自分の次に、両選手が遅れ始めることに。頂上付近で合流をし下りも休まず、足を回し続けると他の選手よりあまり余力がないことがわかってきた。最後のオフィシャルの補給所では、暑さもあり全員が地元の中学生からペットボトルによる給水を受けとる。残り14km地点、ほぼ逃げ切りが確実だっただけに、この登りさえクリアできればと後はゴールである。水野選手、青野選手がいつもどおり先行していたが、最終周ということもあってペースが若干早い。2名に着けず、ここが勝負の分かれ目となってしまった。頂上を越え、先行する2名に対して追う3名には余力がなく、差は開いていくばかり。しかし、確実にポイントを持って帰るため諦めることなく、ほぼ先頭固定でゴールを目指す。追走集団とのタイム差は残り5kmあたりから1分程となり、後ろを振り返らず、ただペダルを回すことにだけ集中する。体重のある自分は、コース後半の下りや平坦ではしっかりとスピードに乗せることができていた。

左:海岸線を逃げるメンバー。 中:オフィシャルの補給所。 右:レース終盤の登り区間

最後は、追いつかれる恐怖と戦いながら、スプリントもせずにゴールラインを超えた。着順は3位、後続とのタイム差はたったの7秒。レース後、一緒に逃げた水野選手に感謝を伝えに行くと、やはりゴール勝負はしたくなかったとのこと。それを計算の上でのペースアップについていけなかった自分の非力さが今回の敗因であった。また、集団ではチームメイトが追走の動きを警戒しながらチェックをしていてくれていたらしく、おかげで逃げ切ることができたが、まるで学連チームタイムトライアルのように辛く気の遠くなるような80kmであった。

今レースでタイヤ・ホイールのサポート、そしてレース前に差し入れをくださった山本様をはじめ、沿道でのたくさんの応援誠にありがとうございます。

この経験をトラックレースでも生かしていけるよう精進してまいります。

サポート機材】
ホイール: black inc ・ BLACK FIFTY tubular
タイヤ: VELOFLEX ・ Extreme (TU)
写真提供: 高木秀彰様

<選手プロフィール>
新村 穣 (Shimmura Minori)
日本自転車競技連盟 トラック中距離JCF強化指定選手
主な入賞歴
第116回 Austral Wheel Race 優勝(オーストラリアの世界最古のトラックレース)
第55回 全日本学生選手権トラック自転車競技大会 マディソン 優勝
第84回 全日本自転車競技選手権大会トラックレース マディソン 優勝
第85回 全日本自転車競技選手権大会トラックレース マディソン 優勝
第71回 全日本大学対抗選手権自転車競技大会 チームパシュート 優勝
※他、ベンディゴ国際マディソン出場、ドイツ6日間レース出場、ツール・ド・北海道(UCI2.2)完走、
 ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム出場など

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